配管作業に欠かすことのできない工具のパイプレンチですが、使い方を誤るとパイプレンチが滑ってしまいます。配管作業をしていてそのような経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
- パイプレンチの使い方はそもそもどういうものか
- パイプレンチが滑る原因はどういうもの
- パイプレンチが滑らないための対策はどうなっているのか
パイプレンチの使い方は複雑ありません、それはつまりパイプレンチを使用する際のセッティングやパイプに合った作業レンチを使用していないこと、さらに使用したことでパイプレンチに汚れが付着することなどが関係しているのです。
パイプレンチを安全・正確に使うための情報をお届けします。
パイプレンチの使い方
パイプレンチの使い方をまとめると次のようになります。
- パイプレンチでパイプを挟む
- パイプレンチでパイプを回す
- パイプレンチをパイプから外す
それではそれぞれのプロセスを見ていきましょう。
① パイプレンチでパイプを挟む
素手でできる範囲でパイプレンチを継手に回しはめてからがパイプレンチの出番です。まず、パイプレンチを回す前に大切な作業はパイプレンチでパイプを正確に挟むことになります。
正確に挟むということを具体的に説明すると、パイプに対してパイプレンチを垂直にした状態で本体のあごに当たる部分を開いて締める(又は外す)パイプの外径に合わせてあごの開きを調整する、という感じです。パイプレンチのあごとパイプの位置関係も大切な要素となっていて、パイプの中心とあごの中心を合わせることが理想的と言われています。
あごの開きを調整後、トライモタイプのパイプレンチなら調整用の穴ナットを回してパイプレンチでパイプを締め付けて固定しましょう。
② パイプレンチでパイプを回す
パイプレンチでパイプをしっかりつかんだら、パイプを回す作業に移ります。パイプレンチには方向がありますので、締める・緩めるといった必要な作業に合わせてパイプレンチを固定する向きに注意しましょう。
動画などを参照にされるとより想像しやすいのですが、パイプレンチを回す方向にあごを向けると締める・緩めることができます。
実際の使い方を元にもう少し説明を加えると、パイプを締める時にはパイプの右側にパイプレンチを配置してパイプを挟んだ時にあご部が左側を向いているように、逆にパイプを緩める時にはパイプの左側にパイプレンチを配置してパイプを挟んだ時にあご部が右側を向くようにする、という感じです。
ラチェットレンチのようになっていて、しっかりつかんで回る方向と逆の方向にパイプレンチを回すと空転します。
③ パイプレンチをパイプから外す
パイプレンチを回す作業を終えた後は私用したパイプレンチをパイプから取り外します。パイプレンチの上のあご部分を押すことによってリリースすることができるので、緩めて取り外してください。これは特別難しいことではないので難なくこなせます。
パイプレンチが滑る原因
上記の方法がパイプレンチの基本的な使用方法ですが、パイプレンチを使用しているとパイプレンチのあご部分が滑ってしまいパイプを回すことができないことがあります。パイプレンチが滑る原因として考えられるのは次の要因です。
- パイプレンチがパイプに対して斜めの状態になっている
- パイプレンチの許容範囲を超えている
- あごの歯部分が汚れている
それでは一つずつ見ていきましょう。
① パイプレンチがパイプに対して斜めの状態になっている。
パイプレンチがパイプに対して垂直ではなく斜めの状態でパイプを挟んでいるとパイプレンチが空転する原因となります。斜めの位置でパイプを挟むとあご部分がパイプを確実に挟むことができないからです。
その状態で無理やりパイプレンチを使用すると事故につながる可能性もあります。
② パイプレンチの許容範囲を超えている
パイプレンチのあご部分にはくわえられるパイプの外径が定められています。この外径(つまりは許容範囲)よりも大きいパイプをパイプレンチで挟むこともパイプレンチが滑ってしまう原因となるのです。
滑るだけで済めばよいですが、最悪の場合だとパイプレンチが壊れてしまいます。
③ あごの歯部分が汚れている
イプレンチのあご部分には歯(溝)があるのですが、この部分が汚れているとパイプを挟んで回してもパイプレンチが滑る可能性が高いです。汚れの原因は挟んだパイプの塗装や削れカスなどが考えられます。
パイプレンチが滑る場合の対策
上述した3つの要因でパイプレンチが滑ってしまいますが、裏を返せば、これらひとつひとつを解決することでパイプレンチが正常に機能するということなのです。次のような対策を行うと効果があります。
- パイプに対して垂直にパイプレンチを配置・挟ませる
- パイプ外径に合ったパイプレンチを用意する
- パイプレンチを定期的にメンテナンスする
少し詳しく説明します。
① パイプレンチに対して垂直にパイプレンチを配置・挟ませる
パイプレンチでパイプを挟む際に、パイプに対して垂直にパイプレンチを一度当ててみて、具合を確認してから挟むようにすると確実です。
作業スペースを整理・整頓してできるだけ広々とした場所で作業をすると余裕をもって作業できるのでパイプレンチも使いやすいでしょう。
② パイプ外径に合ったパイプレンチを用意する
作業するパイプの外径を事前に確認することで、パイプレンチを購入する方であればそのパイプを取り扱うことのできる適正な工具を、すでにパイプレンチを持っている方なら買い足す必要があるかどうかを判断できます。
無駄な出費・時間を要することなく作業できるので、作業効率・コスト面的にも効果は高いです。
③ パイプレンチを定期的にメンテナンスする
パイプレンチを定期的にメンテナンスすることでパイプレンチを綺麗にすることもでき、本来備わっている性能を失うことなく使用することができます。あごの歯部分をカッターといった固いものを利用すると汚れを落とせるのでおすすめです。
まとめ
パイプレンチ使用時に滑ってしまう場合、今回紹介したような3つのことをまずか確認してみましょう。どれも難しいことではなく、メーカーの製品カタログやちょっとした心遣い・意識ですぐに対処できるようなものばかりです。
パイプレンチを適切に使用できれば怪我の可能性もなくなります、配管作業で怪我をしないように作業対象に合ったパイプレンチを選べるようになりましょう。
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